VANILLA
期間:2006-2008
用途:専用住宅
所在地:神奈川県横浜市
規模:地上3階
構造:S造
用途地域:準住居地域
許容建蔽率・容積率:60%・200%
敷地面積:70.0m2
建築面積:36.58m2
延床面積:109.74m2
構造設計:名和研二/なわけんジム
施工:大同建設 高橋和夫
写真:平井広行
担当:児玉遼
October Ueda and Nakagawa Architects

狭小、車2台の駐車、門型、3階建て、やや軟弱な地盤、準耐火、ローコスト(1750万)...遠くに預けてあるレストア中の趣味の車を手元に置きたい、というのが家を建てる第一の理由でした。首都圏の駐車場代は本当に高いですから個人的にも共感をおぼえます。

実用車は別に1台あり、車2台いれるとそれだけで敷地は目一杯です(空いているように見える部分は隣地の竿地)。間口が狭いので縦列駐車となり、面積的に住居部分は2層必要ですから、3階建ての門型となってしまいます。準耐火のことをおいておけばコスト的に木造にしたいところですが、これでは無理です。RCはコスト的にも地盤的にもありえませんから鉄骨しかありません。

しかし当時鉄の価格はピークを形成していました。鉄骨の場合、非常に単純化して言えば「重量=価格」なので、いかに軽くし剛性を得るかです。そこで75mm角、厚さ6mm(軽量鉄骨造の上限)の角形鋼管を三角を内蔵した門型ユニットとして組み立て、長手はブレース(引張斜材)で処理することにしました。非常に軽いですが、びくともしない躯体ができました。

さらなる減額のため、大胆な割り切りに加え、施主施工も行いました。内部の塗装すべて、1層目の内部壁仕上げ、カーテンレール取付(吊り下げ型)です。今回はクライアントの働きがすばらしかった。プロ用のエアレス吹付機を借り、塗装は1人でほぼ全てやられました。1層目の内部壁仕上げは、我々がメインで(スタンスとしてはあくまでお手伝い)、1.6mmのチャンネルに合板とリブ浪を留めました。カーテンレールは、既製品に良い物がなく、デッキプレートにアンカーを付けパイプをサヤ管にし長ネジ留めにしました。

「アイス何がいい?」、「バニラ」、「定番ですね」。vanillaというのは、こういう感じの「普通、標準的」という意味です。 全然普通でも標準的でもないこの住宅プロジェクトに、あえてこういう名前を付けてみた訳です。