SKEW
期間:2005-2007
用途:専用住宅
所在地:茨城県取手市
規模:地下1階、地上1階
構造:地下:RC造、地上階:S造+木造
用途地域:第二種中高層住居専用地域
許容建蔽率・容積率:60%・160%
敷地面積:403.49m2
建築面積:171.61m2
延床面積:195.08m2
構造設計:名和研二/なわけんジム
施工:岩堀建設 佐藤典彦+岩堀カズミ
写真:平井広行
October Ueda and Nakagawa Architects

この敷地は郊外にあって宅地としてはかなり広い。ただしかなりの変形地で、面積の半分が急な斜面、しかもほとんどが自然法面(土)でした。広いことは実は問題で、すなわち、敷地に手を加えなければならなくなった時のコストが膨大になるということです。下から測ると6mの高さの自然法面に対して擁壁工事をやり始めたら幾らお金があっても足りなくなります。安くて広い土地を買った意味がなくなるというより全予算が消えてしまいかねないのです。可能な限り敷地に手を入れないことが第一です。ただし、セットバックしなければならないため、既存の低い垂直擁壁は撤去せねばならず、その部分は代わりのものを用意せねばなりませんでした。

専用住宅で、かなり大きめのホームシアター、居住者1名、最低1台分の駐車場。これがお施主さんの希望で、ホームシアターが最重要でした。ホームシアターは防音性能が必要ですが、遮音の観点からは重量が必要ですから素直にRCとしたいところです。重くなるわけですから擁壁代わりに下に埋め、法面を受ける形とします。勿論、土工事は最小限かつ効率よく行わねばなりません。掘削、排出土量はすぐ大きくなるし、山留工事に費用がかかりすぎます。

長い敷地というチャームポイントを引出すべく居住部も長くします。それを杭で支持して地盤に荷重をかけないようにし、法面に手を入れる必要をなくします。構造的には、Y方向を三角形を内蔵したスチールフレーム、X方向を木の方形パネルとする混構造です。木の方形パネルは、根太も間柱も垂木も区別無く内蔵された両面合板張の2×4パネルユニットで4周の支持のみ。スチール+木パネル+スチールというユニットで1単位で、ユニット間は細い頭繋ぎで接続されガラスでふさがれるのみで、構造的にはフリーです。

平面的にはユニットの同士の間で折り曲げ(ガラスで掛け渡せる範囲なら形が自由になるため)、長さに変化を与えるようにしています。