期間:2006-2008 用途:診療所 所在地:愛知県名古屋市 規模:地上2階 構造:RC 用途地域:近隣商業 許容建蔽率・容積率:80%・200% 敷地面積:97.07m2 建築面積:75.12m2 延床面積:115.39m2 構造設計:名和研二/なわけんジム 施工:セントラル工建 北直人 写真:平井広行、上田知正 担当:児玉遼、藤村和久 |
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この敷地は極端な変形地です。公園と自衛隊駐屯地に挟まれた非常に細長い直角三角形の地型。公園の下には大きな上水道本管が埋まっていて、そのためこのあたりは「すいどうみち」と呼ばれています。 三角形の底辺は普通の大きさがあり、そこに自宅が建ってますが、残りの部分は物置が精一杯という感じでした(実際物置が建っていました)。そこに接骨院を建てられないか、というのが話の始まりでした。 地型が変形して狭いことに加え、どうしても実現しなければならない要望がありました。その中に自身の車とお客さんの車3台、計4台分の駐車スペースが必要ということで、優先的にスペースを割り振り、残った部分に建てなければなりません。 必然的に1層目は小さくなりますが、そのまま3層にして縦導線(階段室)にスペースを取られるより、2層目を大きく張り出させ(キャンチレバーと言います)極端な三角形というこの場所の最大の個性を活かすことにし、張り出し部:本体:張り出し部(ほおづえ有り)=1:1:1という大きな張り出しを両側に持つ2階建てとしました(正確にはキャンチは1より大きい)。 クライアントは建築の好きな方で、RCを希望されていました。駐車場、キャンチレバー、地盤(良くない)、バジェット(2400万)、RC、とこれらのことが総体としてどういう難易度を示しているか、正確に分かっているのはその時点では私だけですから、説明を要します。様々な困難を乗り越え、施工者もがんばり、出来てみると選択は間違っていなかったと思えます。集客は1.5倍、おじいちゃん、おばあちゃんにも好評で、なによりクライアントご本人もいたく気に入ってくれました。 平面的には単純に敷地なりで、立面的にはこれもまた単純な対称型。2階の筒状躯体は理にかなった台形断面。キャンチレバー底面は圧縮に有利なように傾け、端部は軽量化のためそぎ落としています。いたって合理的な解法ですがが、これが、水棲の怪物あるいはステルス戦闘機に見えたとすれば、「連想的にコンテクスチュアル」と建築的には言うところです。 |