EDGEYARD
期間:2003-2004
用途:専用住宅
所在地:東京都渋谷区
規模:地上4階 
構造:S造
用途地域:第一種住居地域 
許容建蔽率・容積率:60%・160%
敷地面積:80.66m2
建築面積:47.99m2
延床面積:126.05m2
構造設計:木村佳央/木村佳央建築構造設計室
施工:吉野建設 谷晋吉
写真:上田知正
October Ueda and Nakagawa Architects

間口が狭く、奥行きが長く、かつ前面道路が非常に狭いという、典型的な都市住宅の敷地。

このような敷地において、敷地内駐車とスモールオフィスとなる1層目の前面性・開放性を両立させるという矛盾したプログラム上の要求。駐車スペース脇に袖壁や独立柱があるだけで転回不可能となる。2層目を単純にキャンチレバーとすると、スモールオフィスは奥の薄暗い場所としてしか存在し得ない。

そこで2層目をキャンチレバーとする代りに、建物全体をスラント状に持ち出すという方法を採った。面の連続性のなかで、1層目は完全に前面化する。結果生じるファサード側のスラントしたヴォイドには、それにシンクロする形で階段を配置。変形したヴォイドを有効に使うとともに、その空間を体験できるようにしている。居室的空間はその奥となり、密集地の全面開口ファサードであるにも関わらず、見上げの視線からプライバシーを十分に保護し、落着いた居住空間を獲得している。

高さ10mの中に通常の3層ではなく4つのレベルを入れることで、床間のヴォイドを立体的に配置。間口方向の単一的性格に対し、断面上の複雑さを持ってくることで、広がり感の不足を解消している。

プログラムの合理的な解法の結果としての姿形に関しては無関心を装うべきだろう。いずれ10m程度に町並も揃って来て、好むと好まざるとに関わらず、立面的なedgeの姿形もその頃には十分なじんでくるはずである。