MTY

期間:1999-2001
用途:専用住宅
所在地:東京都町田市
規模:地下1階・地上2階
構造:S造・一部RC
用途地域:第一種低層住居専用地域
許容建蔽率・容積率:40%・80%
敷地面積:167.64 m2
建築面積:66.97m2
延床面積:152.54m2
構造設計:S・FORM
施工:大同工業 高島望
写真:平井広行
October Ueda and Nakagawa Architects

敷地は、前面道路から20m以上奥まり、11mも上がった雛壇の上にある非常に細長くカクカクと折れ曲がった極端な変形地です。南側に高い擁壁があり、北側だけが開けています。特殊な土地です。駅近なのに極端に安い土地というのは、このような条件さえ受け入れれば存在するということです。どのような建物が建てられるのか想像することすら難しい土地ですが、それこそ建築家向きとも言えます。

ここに防音室とスタジオを持つ住宅を建てます。視界が開けた長手の北面。それがこの土地のチャームポイントです。その良い点を引き出すため、家全体をアトリエライトの空間としました。アトリエライトというのは画家のアトリエで用いられる北向きの大開口で、一日中穏やかな環境光につつまれた優しい空間を可能にします。壁や天井のみならず床も白くすることで反射率を上げ、環境光を最大限活かしています。壁やドアを少なくするため、フロアゾーニングを積極的に採用し3層構成とします。用途地域上、7mの軒高制限があるので、1層目を半分ほど地面に沈め軒高をクリア。造成時に作られたアプローチ階段を途中で切断し、地面に埋まった1層目のレベルにエントランスレベルを作ります。高所にある敷地だから雨水の侵入の心配もないわけです。

吹き抜け2層分の高さのリビングダイニング、コンパクトなキッチン、広い浴室兼ユーティリティスペース、列車のコンパートメントのような小さな個室が3つあります。防音室のみRCで、あとは大開口を可能にするため鉄骨造になっています。鉄骨建方は特殊なクレーンを使用することで可能になりました。

同一平面上に建つ普通の土地ではあり得ないですが、傾斜地ではプライバシーと開放感を両立させることが比較的容易にできます。傾斜地の計画は工事費が割高になりますが、土地自体の価格が割安であるため全体のコストは同等と考えて良いでしょう。